〜見えることで、暮らしは変わる〜
80歳になるAさんは、長い間、尿漏れに悩んでいました。特に最近は症状が強くなり、「この先どうなるのだろう」と不安な日々を過ごしていました。病院では手術という話も出ましたが、まずは「いつ、どんな時に困っているのか」を丁寧に見てみることになりました。
特別な器具を使って尿の状態を確認すると、意外なことが分かりました。普段、散歩をしたり家の中を歩いたりしている時は、ほとんど漏れていなかったのです。ところが、Aさんの大好きな畑仕事など、体を使う時には多く漏れていました。
「ずっと漏れていると思っていたけれど、そうじゃなかったんだね」
Aさんは、ほっとした表情を見せました。そこで、畑仕事の時だけ対策をし、普段は軽いパッドで過ごす方法を選びました。その結果、「外出が怖い」という気持ちが薄れ、「久しぶりに温泉に行ってみようかな」と話してくれるようになりました。何年も遠出ができなかった奥様も、とても喜ばれました。
実はAさんは、私の父です。娘として、どこか話題にしづらく、見ないふりをしてきた部分もありました。でも今回、状態を「見える形」にしたことで、手術以外の道があると分かり、父が前向きになった姿を見て、胸がいっぱいになりました。
年を重ねると、できないことは少しずつ増えていきます。でも、工夫や支えがあれば、楽しみや喜びは守ることができます。看護や介護は、病気を治すだけでなく、その人らしい暮らしを支えること。今年5月、ニコニコは10周年を迎えます。これからも一人ひとりの声に耳を傾け、生活を明るくするお手伝いを続けていきたいと思います。