数年ぶりにご連絡をくださったAさんの娘さん。「お久しぶりです」とご挨拶すると、ちょうどお父様がER(救急外来)から戻られたところだとお話しくださいました。医師からは余命が限られている旨を伝えられ、自宅で最期まで過ごしたいとのご希望で、「ニコニコさんのお力をお借りできませんか」とのご相談でした。
私は急いでAさんと娘さんにお会いしに伺いました。Aさんは椅子に腰かけ、にこやかに迎えてくださいました。見た目にはお辛そうには見えなかったのですが、一度動き出すとすぐに息が上がり、なかなか呼吸が落ち着かないご様子でした。肺に水が溜まっているとのことで、足の浮腫も目立ち、夜間は平らなベッドでは眠れない状況が続いていました。
すぐに娘さんと薬の見直しを行い、数日後に診察予定の医師と利尿剤の増量について相談すること、頭部を起こせるベッドのレンタル手配、水分摂取量と体重の把握、そして転倒リスクの高い箇所にコロヤワマットを設置するなど、いくつかの提案をさせていただき、それぞれ調整を進めていただくこととなりました(実際に過去に2度の転倒歴があるとのことでした)。
娘さんは「病院では十分なケアが受けられない」との判断のもと、在宅療養を選ばれました。しかし、自宅での看取りにはしっかりとした準備が必要です。息苦しいままでは酸素が脳に行き届かず、意識がぼんやりし、ふとした拍子に転倒してしまう…という悪循環につながります。病院から戻られてすぐにご連絡をいただき、タイミングよく介入できたことは、まさに幸いでした。
今年100歳を迎えられるAさんが、ひ孫さんのお顔を見ながら「まだ死ねないなあ」と微笑まれる姿に胸を打たれました。少しでも安らかな時間をお過ごしいただけるよう、私たちも精一杯努めてまいります。(続く)